蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
「じゃあどうしたい? 実家へ送る? それとも……」
きっと蓮人兄さまと私の話はうわさ程度でも聞いているだろう。答えられない私に真翔君はポンと私の頭に手を置くと、優しいお兄ちゃんの顔を見せる。
「とりあえず家に行こうか」
「え?」
驚いて声を上げた私だったが、もう真翔君はどこかに電話をしているようだった。
その表情はとても優しくて、それでいて以前より頼もしく見える。きっと結婚したいと言っていた相手の女性だろう。
そんなところに、いくらなんでも行くなどできるわけがない。
「真翔君、ごめんなさい。一緒に住んでるんだよね? お邪魔はできなからやっぱり……」
車を降りようと、ドアノブに手をかけると真翔君が口を開く。
「大丈夫、咲綾は鏡花のこと知ってるから」
どう知ってるのか問いかけようとするも、もう車はもう出発してしまったし、吐き気が襲いそれどころではなくなった。