蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
「あたりまえでしょ。お客様の前で」
少し照れてるのか、怒ってるのかわからない表情の後、咲綾さんという女性は私に視線を向けた。
「すみません鏡花さん。入ってください」
決して迷惑そうではない雰囲気に、私も安堵すると「お邪魔します」と靴を脱いだ。
広いリビングはとてもおしゃれな雰囲気だが、一角にピンクや赤のカラフルなキッズコーナーがあり、もう長くここに真由ちゃんが住んでいることがわかる。
「いきなり申し訳ありません、更科鏡花といいます」
かしこまって挨拶をしていた私に、手を洗ってきたのか真翔君がリビングへと戻ってきた。
「咲綾、鏡花どうやら調子が悪いみたいなんだ」
その言葉に、咲綾さんはハッとしたように私を見た。
「そうなんですか? 挨拶なんていいので座ってください」
咲綾さんは挨拶をそこそこに、私をソファへと座らせる。その時うっと吐き気が襲い、私は口元をハンカチで覆う。