蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
「真翔! 鏡花はどこだ!」
息を切らせてすごい勢いで現れた蓮人兄さまに私は目を見開いた。
そんな蓮人兄さまに、真翔君が私の前に立ちはだかり、腕を組んで蓮人兄さまを睨みつける。
「久しぶりにあった従弟に初めに言うセリフですか? それに蓮人さん、貴方の代わりに調子の悪い鏡花を助けたのは俺ですよ」
その少し挑発するような真翔君の言葉に、蓮人兄さまが言葉に詰まる。
「本当に悪かった」
小さくうなだれるように言葉を発すると、蓮人兄さまは何かに耐えるように手を握りしめていた。
あれでは、きっとツメが食い込んで、血がにじんでしまうのではないか。
心配になり、つい言葉を発しようとしたところで、真翔君がにやりと笑って蓮人兄さまを見る。
「蓮人さんは、俺に鏡花と結婚しろっていってましたよね?」
やっぱり……。私のお母さんに言った頃、真翔君にも同じことを言っていたのだとわかる。
「今もそれは有効ですよね?」
「真翔君?」
何を言ってるの? 咲綾さんも真由ちゃんもいるのに。驚いて声を掛けた私を、真翔君は後ろ手にそれを制止する。