蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
「それは……。確かに言った。鏡花が昔から好きな真翔と結婚するのが幸せだと思っていたから……」
「え?」
つい声が漏れていた。今蓮人兄さまはなんて言った? 『鏡花が昔から好きな真翔』?
いつ私がそんなことを言ったのだろう。私が真翔君を好きだったことなんてない。
グルグルと昔のことが頭に浮かび消えていく。確かに私は真翔君と一番仲が良かった。
「じゃあ、いいですよね? 鏡花、いつでも引っ越しておいで」
真翔君が私に手を伸ばそうとするのを、まるで意味がわからず私は呆然と立ちすくんでいた。
「ダメだ!」
それと同時に、真翔君をはねのけるように蓮人兄さまが私の前に立ち、ギュッと抱きしめる。
「鏡花、ごめん。真翔と一緒になりたいかもしれない。でも、俺が一生かけてお前を幸せにするから。だから俺を選んで」
抱きしめる腕は少し震えていて、言葉は揺れている。こんな蓮人兄さまは初めて見たかもしれない。
そして言っている意味が解らず、私は蓮人兄さまの腕の中で固まってしまう。