蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

「鏡花だけが必要だ」
弱弱しく響く声はまるで私に嘘を言っているような感じはなくて、私は混乱してしまう。
必要なのはどうしてだろう? そんなことを思うも、抱きしめられる腕が温かくて、ようやく大好きな人の温もりを感じられたことで、私の気持ちが落ち着いていく。

「蓮人兄さま……」
私が蓮人兄さまの背中に手を回したところで、コホンと咳払いが聞こえた。
ここが真翔君の家だということを思い出して、私たちはハッとして真翔君を見た。

「蓮人さん貸しですからね。きちんと二人で話し合ってください」
そう言うと、真翔君はため息交じりに私達を見た。

「真翔、お前はそれでいいのか?」
私の肩を抱きながら、真翔君に蓮人兄さまが問いかけると、廊下から「真由、まだダメ!」と小声で叫ぶ声が聞こえる。

「パパー、まゆおなかすいた」
バンと音を立ててリビングに走って来た真由ちゃんに、今までとは全く違うパパの表情で真翔君は真由ちゃんを抱き上げる。
「ごめん、ごめん。もう終わるよ」
「ごめんなさい! 真由ったら急に走って行っちゃって」
その後ろから咲綾さんが、申し訳なさそうに小走りで駆け寄る。

そんな真翔君たちの様子に、蓮人兄さまが驚いて目を見開いたのがわかった。
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