蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
とうとう涙が零れ落ちる。妊娠するとホルモンバランスが崩れて情緒不安定になると聞いたことがある。それもあるのか、もう私の涙は止まらなくなっていた。
俯いていた私の頬をそっと、蓮人兄さまの両手が包み込む。
「鏡花、違うから。俺の話を聞いて」
さっきまでとは違う、柔らかな声に私はさらに涙が止まらなくなる。そんな私を蓮人兄さまがしっかりと抱きしめる。
「俺の気持ちを伝えてもいい?」
何のことかがわからない。蓮人兄さまの言葉を泣きながら聞いていた。
「ずっと、ずっと言いたかった言葉。鏡花を苦しめるとわかっていても言わせて」
蓮人兄さまは抱きしめていた力を少し緩めると、私の瞳をのぞき込んだ。
初めてかもしれない。いつもの言葉使いではなく、昔の私に話すときのような柔らかな蓮人兄さまに、驚きでただそのきれいな瞳を見つめていた。