蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
「鏡花……」
そんな時、不意に気配と困惑したような声に私は顔を上げた。
いつの間にかソファーにいた蓮人兄さまが私の横にいて、私は驚いて玉ねぎが床へと転がる。
それを拾おうとしゃがむと、同じように拾うためにしゃがんだのだろう蓮人兄さまの頭に、私の額がぶつかる。
「痛っ」
「大丈夫か?!」
つい声を上げた私に、蓮人兄さまが慌てたように声を上げた。
「はい……」
額に手を当てようとした私だったが、そっと私の額に蓮人兄さまの手が触れる。
驚いて目を見開くと、蓮人兄さまの綺麗なグレーの瞳に私が映る。
「蓮人兄さま……?」
「夕飯はのコンシェルジュに頼んだから、鏡花はそれを食べて今日は早く寝ろ」
ぶっきらぼうだか、私のことを考えてくれていたことにすこしだけホッとする。
ジッと私は蓮人兄さまを見つめていた。