蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
大切な君 Side 蓮人
いろいろなことが次々に起こり疲れたのだろう。
ほんの数分の距離なのに、助手席で眠る鏡花に俺は視線を向けた。
小さいころから俺達の後ろをついてきていた女の子。
いつのころからだろうか? 鏡花が俺を避けるようになったのは。
小さい頃は仲良くしていた幼馴染たちだが、俺の親父は常日頃「次男だから、今も副社長どまりだ」が口癖の人で、だんだんと一番年上の俺は、悠人や真翔と距離を取るしかなくなっていった。
俺自身は役職などに興味もないし、自分の仕事をきちんとやるだけだ。そう思って生きてきたが、親戚や親父はそうは思っていない。
大村グループの次期社長の座がどうだとか、許嫁だとか。
金持ちにありきたりなうんざりする話にイライラが募っていった。
そんな中、一番小さい鏡花は悠人や真翔と仲が良く、俺とはだんだんと距離ができた。
元来、優しい性格でも穏やかな性格でもない俺は、この小さな幼馴染も素直に可愛がってこなかったと思う。
そんなことを思いながら、駐車場に車を止めると、俺は申し訳ない気持ちで鏡花の寝顔を見つめた。