蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

『本当にうまくやっていきたいのか?』
確認するように聞いた俺に、真っすぐな瞳で答えた鏡花の気持ちに嘘はないだろう。
鏡花はとても優しくて、自分のことは二の次だ。だからこそ、そう言ってくれるのがわかる。

しかし、俺は鏡花とうまくやってしまえば、どんどん鏡花を手放せなくなる。
今は、鏡花と仲良くやるわけにはいかない。きっといつか、鏡花を真翔の元にかえしてやるのだから。

だから、噂程度のうちに真翔には申し訳ないが、真翔が政略結婚を壊そうとさえした。

鏡花の為。自分に言い聞かすように、痛む心を隠しながら俺はリビングを後にした。

きっと鏡花は悲しんでいるだろう。

自分の部屋に戻っても、もちろん仕事などする気に慣れず、真っ白な天井を仰ぎ見た。


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