蜜月身ごもり婚～クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです～【華麗なる結婚シリーズ】

「どうって……ふつうよ？」
「いいなー。新婚って。ご飯作って帰りを待つとか。夜ゆっくり映画をみるとか」
その言葉に私は苦笑する。

「意外だね。亜弓ちゃんがそう言うことにあこがれるとは思わなかった」
「そうですか？　意外に私って家庭的なんてすよ。でも実家同士だとそういうことってアピールできなくて」

「そっか」
そう答えた私は少し寂しそうな顔をしたのかもしれない。亜弓ちゃんは私の顔を覗き込む。

「新婚さんなのに浮かない顔」
「彼忙しいのよ。帰りも遅いし」
そう、だから夕飯は結局作らなくていいと言われている。

なんとか朝食は無理やり作っているが、亜弓ちゃんのいうような〝夫婦の時間”は皆無だ。
「それにまだ婚約中だからね」
私が言うと、亜弓ちゃんは遠くをみながら、うっとりとした表情を浮かべる。
「一番素敵な時期じゃないですか。」

もはや亜弓ちゃんに何を言っても無理だろう、私は小さくため息が零れ落ちる。