蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
「じゃあ夜は待ってないんですか?」
本当に古風な考え方の亜弓ちゃんを私はきょとんとしてみる。
「だって、待たなくていいって……」
「それを待つのがいいんじゃないですか。待ってたよとか言って」
うふふと笑った亜弓ちゃんはとても可愛らしかった。
「そんなもの?」
「そうですよ。男の人なんてなんだかんだそう言うのが嬉しいですから。明日は休みですし待ってみたらどうですか?」
そこに電話がなり、亜弓ちゃんは受話器を取った。
何か余計なことをして、蓮人兄さまに煙たがられたら。
そう思っていたが、確かに今更な気もしてくる。
どうせ初めから報われない思いなら、少しぐらい幸せな思い出をもらっても罰は当たらないはずだ。
私はそう決心すると、仕事を早く終わらすべくキーボードに手を滑らせた。