蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

「お前に何がわかる」
静かに響いた怒気の含んだ言葉に、私は「しまった」そう思うも、口から出てしまった言葉はもう遅い。

蓮人兄さまは鋭い視線で私を睨みつけている。その視線の意味などわからない。
でも、だんだんと悲しさと虚しさがこみ上げる。
今まで自分の思いを口にしてこなかったのは、自分のせいだが、これからの人生もきっと同じだろう。
蓮人兄さまと結婚をしなくても、きっとまた誰かとお見合いをして、その人と愛のない政略結婚をする。

ただ一人好きなった人には、求めらることすらないのだから。

アルコールと兄さまの怒りに、ポロポロと涙が零れ落ちる。

「鏡花泣くな……」
いきなり泣き出した私に、蓮人兄さまは困ったように表情を歪める。

この年なのにずっと蓮人兄さまだけしか見られなかった私は、誰とも付き合ったこともない。
このまま何も知らず、女の幸せすら知らずに終わって行くのだろうか。
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