蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

「それは、私が……」
私が頼んだからであって蓮人兄さまは悪くない。今もキスされたところが熱を持ち、全身が熱い。
初めて触れた蓮人兄さまに、私は自分が喜んでいたのがわかる。やはり蓮人兄さまがいい。
そんなことを浅ましくも思ってしまう。

立ち上がろうとする蓮人兄さまに、無意識に手が伸びて腕をつかんでしまう。驚いて振り向いた兄さまの瞳とぶつかり、私も羞恥で視線をそらしたくなるがそれを耐える。
後悔なのか、懺悔なのか、私を見る瞳が揺れているのがはっきりとわかる。

「私ではやっぱり無理ですか?」
静かに聞いた私に、蓮人兄さまは呆れたように小さく息を吐く。

「鏡花、お前今ので懲りただろう」

「懲りてません。蓮人兄さま、私はそんなに女のとして魅力がありませんか?」
自分で聞きながら泣きたくなってしまう。キャミソール一枚になっても蓮人兄さまは、私では無理だという現実。
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