蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
昔から自分のことは後回しで、みんなのことばかり考えている鏡花の負担を減らさなければ。そんな思いで資料をめくると、もう一度声が聞こえる。
『専務、何かあったんですか? 憂鬱な顔して。帰りましょう』
スタイルも、外見も完璧で、女の自信をすべて持ち合わせていそうな彼女は結い上げていた髪をパサリととく。
その行動の意味が解らないような男ではないし、鏡花のことを忘れたくてそれなりにあとくされの無い女と遊んできたことは事実だ。
『専務、噂は本当ですか? 決して本気にならないし専務なら遊びでも私はいいですよ?』
そんな噂になっているのか。そうは思いながら、俺は立花に視線を向ける。
確かにいい女だと思う。しかし今の俺にはなんの魅力も感じない。
でも、毎日鏡花が同じ家にいるということで、どうしても無意識に鏡花に触れてしまいそうになっている俺は、小さくため息をつく。