蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
少しは他の女に触れれば、この気持ちは晴れるのだろうか?
鏡花に触れてしまって、これ以上鏡花に嫌われるのも、鏡花を傷つけるのもごめんだ。
こんな最低な男など、本来鏡花の側にいる資格などないのに。
そう思うと、俺は椅子から立ち上がり立花の前へと移動する。
『専務……』
甘ったるい声で俺のスーツに手をかけたところで、俺はゾワっとした嫌悪感に襲われる。
無理だ。鏡花がそばにいないときは気を紛らわせていられたが、今は鏡花がそばにいる。そのことは思った以上に俺の心を侵食していた。
昔のように、鏡花が俺を避けていてくれればよかったのに。
そんなことを思っても仕方がない。ずっと小さいころから見ていた鏡花を幸せにするのは俺ではないのに。