蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

床に散らばった服を拾い、その光景がいかにも事後という空気にいたたまれなくなる。
簡単に服を身に着けると、もう一度綺麗な蓮人兄さまの寝顔を盗み見る。

一度でいいから。そう思ったのに今は知らなければよかったそんな気さえしている。

抱かれる前の方がまだ諦められた気がする。あの蓮人兄さまの熱を知らなければ、一生思い出だけで生きて行けたかもしれないのに。

ポロポロと涙が零れ落ち、嗚咽が漏れそうになり私はそっと蓮人兄さまの部屋を出た。

私が初めてできっと面倒だったのだろう。せめて今までの女性たちのように、一度ぐらい抱かれたからと言って、蓮人兄さまが自分の物になったなんて勘違いだけはしないでおこう。

お酒のせいにしてなかったことにすれば、きっと蓮人兄さまも忘れてくれる。
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