蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
「鏡花」
いつもより幾分低く聞こえた声に、私はゴクリと唾液を飲み込む。
「はい」
蓮人兄さまの顔を見ることが出来なくて、声が震えてしまった。それだけで覚えていると言っている様なものかもしれない。
そう理解しているのに、どうしても蓮人兄さまの顔を見ることができなかった。
「話がある」
静かに言われて、私はドクンと大きく胸が跳ね息が止まりそうになる。
いつも通りに過ごせばいいと思っていたのに、いきなり話があるなど言われてはもうどうしようもない。
私が話す気がないと思ったのか、どうとったのかわからないが蓮人兄さまはダイニングテーブルに座ったようだった。
「昨日の夜のことだ」
いきなりの確信をついた内容に、私はどうすればいいかわからずただ蓮人兄さまの言葉を聞いていた。