蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

「鏡花はそれでいいのか?」
どういうつもりで聞いているのかわからないが、私は「はい」と返事をすると頭を下げる。

「それなら言うことはない。昔から薫子と違い自分の意見を言わないお前だから流されて結婚するわけではないな」
念を押すお父さんに、私は心の中で自虐的な言葉を並べる。

〝私が無理やり蓮人兄さまを結婚させるのよ”
そんな思いなど知らないだろう、お母さんはウキウキと結婚式の話を始めた。

「お式は懇意にしている加賀大社にしましょうね。披露宴はいつものホテルで……」
もはや決定事項にでもなっているだろう、その言葉に私はチラリと蓮人兄さまを見る。

「お母さん、でも蓮人兄さまのご両親にも了解を取らなければ」
そんな私の言葉をさ遮るように、蓮人兄さまはにこやかな営業スマイルを浮かべる。

「両親には許可を取ってあります。鏡花さんとの縁談ということで母もわかっているようでした」
「あら、さすが由紀子さんね。そうと決まれば由紀子さんにも連絡しないと」
嬉しそうにあれこれ自分のことのように考えるお母さんに、私は諦めにもにた感情が広がる。
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