蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
この家の主である蓮人兄さまですら、自分の部屋のシャワーだけで済ましている気がする。掃除をしようと思った時も、使われている形跡はなかった。
それなのに急にどうして?
沸き上がる疑問を口にすることは、返事を聞くということだ。それが自分の望んだものでない可能性も大いにある。
それならば、蓮人兄さまの真意は知らない方がいい。そう思うと私は自分の部屋で着物を脱ぐと部屋着に着替え、着物を片付け始めた。
ちょうど片付け終わったタイミングで、部屋のドアがノックされる音がして、私は慌てて立ち上がる。
ドアを開けると、お風呂上がりの蓮人兄さまがいた。
「入ってこい」
「……はい」
返事が小声になってしまったのは仕方がないと思う。まだ濡れた髪が妙に妖艶で色気さえ感じてドキドキしてしまう。
そんな自分を隠すように、私は着替えを手に浴室へと入るとバタンと扉を閉めた。