トップリーガーの恋~おまえの心にトライする~
一方湊斗は、サッと汗だけシャワーで流すと慌てて練習場を後にした。

マスコミやファンの姿が見えるが気にしてられない。

向こうも余りの湊斗の形相と慌てた様子に声を掛けれない。スムーズに練習場を出て、祖父母の家へ車を走らせた。

家の前では、祖母がボストンバッグを持って待っていた。湊斗を待っている間に入院になっても大丈夫な様に荷物を用意していたのだ。
祖母の冷静な判断に湊斗もやっと落ち着く事が出来た。

「お待たせ。乗って」

「湊斗すまないねぇ~」

「何言ってんだよ。気づかなかったけど、じいちゃん今日来てたんだな」

「そうなの。湊斗が入院して心配してたんだよ。大したことなくて、お見舞いに行く間もなかったから、ひと目元気な姿を見たいと朝から出掛けたんだよ」

「今日は、予想以上に暑かったからなぁ。それにしても、俺と同じ病院に運ばれるなんて」

「救急隊員の方の話だと、倒れて一時心肺停止したらしいの」 

「…。」手に汗が滲んできた湊斗。

「でも、すぐに近くにいた女性が蘇生処置をしてくれて的確な対応で、すぐに心肺も戻ったって」

ホッとする湊斗。

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