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ある朝 ランが目を覚ますと いつもそばにいるはずの母親の姿がない

ランはベットから体を起こし ランの体には大きすぎる点滴を支える台を押した
息苦しいのを忘れるかのように 病室からでて母親を探した
なんのために?
そんな理由なんてその時のランですらわからなかった

左から聞こえる泣き声

ランはためらった

小さいながらに母親の泣き声がわかったからだ

壁から覗いた

ランにうったのは公衆電話の前で泣きじゃくる母親だった

「さとし…ごめんね…運動会行けなくてごめんなさい」

さとしは三つ離れたランの兄だ。
母親はランは幼いため病室に一人にできなかった。
小学校の運動会 兄のさとしは一人ぼっちだった。

ランはそんな母親の気持ちも兄の気持ちも痛いぐらいわかっていた

なんで…なんで ランは…こうなんだろ…

そんなことを五歳の小さな心を苦しめていた
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