わたしにしか見えない君に、恋をした。
あたしは弱い。自分でもちゃんと自覚してる。
でも、ずっと弱いままでなんていたくない。
ちゃんと……一歩を踏み出すんだ。
きっと、今がそのときに違いない。
勇気出そう。
「正直ね、明子がグループにいたとき……イライラしたの」
「えっ、あ……うん……」
明子はあたしの唐突な言葉に明らかに動揺してた。
でも、あたしはそのまま言葉を続ける。
「明子……サエコとナナを何度も怒らせたでしょ?その度にあたしがフォローしてなんとか一緒のグループにいられるようにしてたの、明子……知ってる?」
「……うん。私のことをサエコちゃんとナナちゃんが嫌ってたのも知ってる……。もちろん、流奈ちゃんがあたしをかばうために色々してくれたのにも気づいてたよ。それなのに……ごめんね……」
「違うの!謝らないで?あたしが言いたいのはそのことじゃないの」
グループから抜けた明子をあたしは見捨てた形になった。
明子がお昼を教室の中で一人で食べているのを知っていながら見て見ぬふりをした。
それどころかサエコとナナを怒らせた空気の読めない明子が悪いとすら思っていた。
でも、そんなことを思う反面明子のことが気になって仕方がなかった。
それなのに自分自身に必死に言い訳をして見て見ぬふりを決め込んだ。
あたしはサエコとナナの言う通り偽善者以外の何物でもない。
ずっとそんな自分が嫌だった。
だけど、それを口にすることも態度に出すこともできなかった。