わたしにしか見えない君に、恋をした。
「あたしは優しくなんてないよ」

「優しいよ。ずっと私のこと気にかけてくれてたもん」

「明子……」

その笑みをもう二度と曇らせたりしたくない。

「明子はまた……サエコとナナと友達に戻りたい?」

あたしの問いに明子は頷いた。

「できるなら戻りたいな。私はこんな性格だし、二人とは合わないのかもしれない。でも、楽しかったんだ。4人で過ごすのが。サエコちゃんもナナちゃんも私にはないものをたくさんもってるから」

「そっか……」

あたし達が4人グループになってからずっと仲が悪かったわけではない。

色々とトラブルはあったけど楽しかった時期もあった。

サエコがグループを仕切って、ナナが盛り上げて、明子がまとめる。

4人で笑い合ったこともあった。楽しいことだってたくさんあった。

「誤解、ちゃんと解こう?」

「え……?」

「分かってもらえても、もらえなくても……言おうよ。サエコに。ナナにも」

「流奈ちゃん……」

「あたしも明子がどうしてあんなこと言ったのか分からなかったから。でも、今ようやく明子の気持ちがわかったよ。言わないと……言葉にしないと伝わらないことってあるんだよ。だから、サエコにもナナにも分かってほしい。ちゃんと話してみよう」

「……うん。そうだね」

明子がうなずいた時、やわらかな風が吹いた。

空を見上げる。雲一つない真っ青な空。

あぁ、少し前までのあたしの心の中は灰色がかった青だったのに。

今はちゃんと青いよ。青く見える。

ねぇ、湊。あたし、言えたよ。ちゃんと言えた。

湊がいてくれなかったら、あたしはずっと自分のことが大っ嫌いだったはず。

でもね、今……ほんの少しだけ好きになれた。

こうやって積み重ねていくことがきっと未来に繋がっていくのかな……?
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