わたしにしか見えない君に、恋をした。
「……――湊!?」

部屋の扉を開けると、ベッドに座る湊の姿があった。

「いた……。やっぱりいた……!」

根拠はないけど、そんな予感がしていた。

「いちゃダメだった?」

「よかったぁ……」

ヘナヘナとその場に座り込んだあたしに余裕気な表情で意地悪なことを言う。

「そんなわけないじゃん。いてくんなきゃ困るよ」

「何だよ、今日はやけに素直だな」

「だって……5日間もいなかったじゃん。朝起きたらもう湊の姿はないし……。いったいどこ行ってたの?どっか行くなら言ってよ!心配するでしょ?」

非難する視線を送ると、湊は困ったように笑った。

「いたんだよ、俺はずっと流奈のそばに」

「そんなはずな――」

そこまで言いかけてハッとした。

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