わたしにしか見えない君に、恋をした。
「湊。なに、しよっか」

あたしは涙を拭って笑顔で尋ねた。

「そう言われると難しいな」

「どっか行きたい?」

「もうすぐ暗くなるし危ねーよ」

「じゃあ、どうする?」

「何もしなくていい」

「でも、それじゃ――」

「一緒にいられればそれだけでいい」

湊はそう言うとポンポンッと自分の隣を手のひらで叩いた。

「おいで」

湊はズルい。

普段は口も悪いし意地悪なことばっかり言ってるのに、こういうときだけ優しい。

「なんか、流奈のことずっと前から知ってたみたいな気持ちになる」

「ねっ。1か月くらい一緒に過ごしたからじゃない?」

「かもなー」

湊がくすっと笑う。

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