わたしにしか見えない君に、恋をした。

「悔しいけど、湊が現れてからあたしの人生がらっと変わった。湊が変えてくれたの」

サエコとナナと明子。3人と和解したことを離すと湊は自分のことのように喜んでくれた。

「全部湊のおかげ」

「俺は何もしてないから。流奈が強くなったんじゃね?」

ううん、そんなことない。その強さを教えてくれたのも湊なんだよ。

「流奈」

静まり返った部屋の中で湊があたしの名前を呼ぶ。その声を聞くだけで気持ちが揺さぶられて涙が出そうになる。

あたしは湊の手のひらをギュッと握り締める。

体温が……湊の体温が徐々に失われていく。

と同時に体が透けはじめていることに気付いた。

「湊……?」

湊が消え始めている。

「いかないで。湊、あたしを置いていかないでよ……!」

湊の体にぎゅっとしがみつく。

「お願いだから……」

「分かった」

湊があたしの体をギュッと抱きしめてくれた。
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