わたしにしか見えない君に、恋をした。
「流奈がいてよかった。流奈と出会えてよかった」

そう言った瞬間、湊を抱きしめている腕がスッと宙を切った。

背中に回っていた温かくて大きな腕のぬくもりも消える。

「やだ……やだよ。こんなのいやだ……」

「流奈、今までありがとな。俺、忘れないから。絶対に流奈のこと忘れない

「やだ……!湊、いやだよ!!」

湊の頬に手を当てる。もうその頬の感覚すらも分からない。

消えそうになる湊。

「あたしだって……」

言葉が喉のに張り付いてうまく言葉にならない。

「忘れないよ。湊のこと。絶対に、絶対に忘れないから。ずっと……。約束だよ……!?」

「うん。約束」

湊はそっとあたしの頬に触れた。
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