わたしにしか見えない君に、恋をした。
愁人の呼吸が荒くなる。
「――湊先輩は俺のせいで……今も……生死の境を彷徨ってるんだ」
その言葉にあたしは頭を石で殴られたような衝撃を受けた。
愁人が湊を知っている……?湊が生死の境を彷徨っている……?
それって、どういうことなの……?
「少しは落ち着いた……?」
過呼吸のようになってしまった愁人の背中をひたすらさすり続けていると、愁人は少しずつ落ち着きを取り戻した。
「もう大丈夫……」
「あのさ、湊のこと……聞いてもいい?」
あたしの言葉に愁人は決意したように頷いた。
「俺が湊先輩に出会ったのは中学の時、県の代表メンバーに選ばれたときだった」
愁人はそう言うと淡々と話し始めた。