わたしにしか見えない君に、恋をした。
『お前、うまいな』
中学2、3年生が多く委縮していた1年生の愁人に湊は気さくに声をかけてくれたらしい。
それから愁人は『湊先輩』と呼び、湊を慕い、湊は愁人を可愛がってくれたらしい。
結果は全国3位。愁人はレギュラーには選ばれなかったものの、チームを引っ張り続けた背番号10番の湊にひそかに憧れを抱いた。
中学を卒業し、高校に入学してからも湊と愁人は頻繁に連絡を取り合い、繋がっていた。
そんなある日、湊は偶然金山先輩に絡まれていた愁人を目撃した。
「あの日……部活のあと、俺だけ金山先輩に呼び出されて飯を食いに行くぞって誘われた。練習のあとでかなり疲れててあんまり食欲もなくて。先輩の行きつけのラーメン屋に行ったんだけど、結局食べきれなくて残したんだ。そしたら、無理矢理食わされて……」
愁人はグッと拳を握り締めた。
「店の外で吐いたら、それを咎められて先輩に何発も殴られた」
「なんでそんな酷いことを……」
「前から金山先輩は俺にだけ当たりが強かったんだ。そこに湊先輩がたまたま通りかかって……」
「湊が……?」
「それで、『やめろよ』って俺をかばってくれた。そしたら、金山先輩は『俺と愁人は仲良しだからって。それで姉ちゃんを……』」
愁人はそこまで言うと、口をつぐんだ。
中学2、3年生が多く委縮していた1年生の愁人に湊は気さくに声をかけてくれたらしい。
それから愁人は『湊先輩』と呼び、湊を慕い、湊は愁人を可愛がってくれたらしい。
結果は全国3位。愁人はレギュラーには選ばれなかったものの、チームを引っ張り続けた背番号10番の湊にひそかに憧れを抱いた。
中学を卒業し、高校に入学してからも湊と愁人は頻繁に連絡を取り合い、繋がっていた。
そんなある日、湊は偶然金山先輩に絡まれていた愁人を目撃した。
「あの日……部活のあと、俺だけ金山先輩に呼び出されて飯を食いに行くぞって誘われた。練習のあとでかなり疲れててあんまり食欲もなくて。先輩の行きつけのラーメン屋に行ったんだけど、結局食べきれなくて残したんだ。そしたら、無理矢理食わされて……」
愁人はグッと拳を握り締めた。
「店の外で吐いたら、それを咎められて先輩に何発も殴られた」
「なんでそんな酷いことを……」
「前から金山先輩は俺にだけ当たりが強かったんだ。そこに湊先輩がたまたま通りかかって……」
「湊が……?」
「それで、『やめろよ』って俺をかばってくれた。そしたら、金山先輩は『俺と愁人は仲良しだからって。それで姉ちゃんを……』」
愁人はそこまで言うと、口をつぐんだ。