わたしにしか見えない君に、恋をした。
「そっか。ごめんな。俺のせいで……」

病院に来る途中に事故にあうなんて。愁人や愁人の姉ちゃんに申し訳ない気持ちになる。

「先輩が悪いんじゃないんです。俺が悪いんです。……俺をかばったせいで姉ちゃんが車に……」

「そうなのか?」

「俺のこと押したんです。押さなければ俺があの車に跳ねられてたのに。俺……自分が情けないです。湊先輩にも姉ちゃんにも守ってもらって……情けない……」

愁人は俯いて肩を震わせてた。

そして、何かを決意したかのように顔を持ち上げるとひどく真剣な表情で俺を見つめた。

「先輩、姉ちゃんのこと覚えてますか?」

「ん?」

「姉ちゃん、事故の前に変なこと言ってたんです」

「変なこと?」

「湊先輩のこと知ってるって」

「俺のことを知ってる……?」

愁人の言葉に何故か焦燥感が全身に沸き上がってくる。思い出したいのに、思い出せない。
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