わたしにしか見えない君に、恋をした。
「あっ」

誰かの気配を感じて目を開けると、目の前にはペットボトルを持った愁人の姉ちゃんが立っていた。

「あ」

静かな空気の中、目と目が合った。

まるで時が止まったような感覚だった。

さっき彼女を見た時にも、そんな錯覚に陥った。

瞬きもせずに彼女を見つめている。そして、彼女もまた俺をまっすぐ見つめ返した。

「愁人の姉ちゃんでしょ?」

頭で考えるよりも先に言葉が口をついた。

このまま黙っていたら、彼女が俺から目を反らしてどこかへ行ってしまうような気がしたから。


「えっ?あっ……はい」

俺の言葉にハッとしたように頷いた彼女に俺は体をスライドさせて自分の隣をポンポンッと叩いた。

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