わたしにしか見えない君に、恋をした。
『なに!?』

彼女が振り返った。

そして『だ、誰!?』と俺の目をまっすぐ見つめながら尋ねた。

正直、驚いた。驚きすぎて、一瞬だけ言葉に詰まった。

『お前、見えんのか?』

人並みな言葉しか出てこない。

『……はい?』

『俺のこと見えてんだろ?』

絶対に、見えてる。俺の存在に確かにこの子は気付いてくれた。

この子だけが気付いてくれた。

『えっ?ていうか、あなた……誰?』

その言葉に俺は心底救われた。

彼女は相当嫌がっていたし、怖がっている様子だった。

でも、彼女ならきっと分かってくれる。俺を受け入れてくれる。そんな予感がした。

そして彼女は知った。俺が鏡に映らないことを。この世界にいてはいけない存在であることを。

それでも、彼女は俺と一緒にいてくれた。

最後の時まで、ずっと一緒に。

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