わたしにしか見えない君に、恋をした。
明子のことをサエコとナナと一緒にイジメていた弱虫なあたし。

人の目を気にして、人に嫌われないように、ハブられないように必死に生きてきた。

自分の意見を押し殺して、周りの顔色を伺って、周りに合わせて。

言い訳を繰り返して、弱い自分から必死に目を反らして生きてきた。

そんなあたしを救ってくれたのは湊だ。

湊は、自分の殻をかぶって出てこようとしなかったあたしの殻を破いてくれた人。

弱虫なあたしの手を引っ張ってくれた人。救い出してくれた人。

「湊……あたし……」

湊の制服をギュッと両手で掴んだまま顔があげられない。
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