わたしにしか見えない君に、恋をした。
「流奈ちゃんって意外とインドアなんだね?」

「まぁ、そうですかね」

先輩の質問に適当に答える。

「俺、インドア派じゃないんだよね~。休みの日に家に一人でいるのとか無理だわ。誰かと一緒にワイワイ過ごしたい」

「へぇ……そうなんですか」

それなら今度はあたし以外の人間とワイワイ過ごしてくださいね。

「うん。だから、できれば流奈ちゃんもインドア派を卒業してくれると助かるわ。やっぱり付き合うなら活発な子がいいし」

金山先輩の意味不明な発言に首を傾げる。

どうしてあたしが先輩に合わせて活発にならないといけないのよ!

あたしは心の中で叫んだ。

このままだと一緒にいることが耐えられない。あたしはとっさに話を変えた。

「そういえば、来月のはじめにサッカーの大会があるんですよね?うちの学校ってやっぱり強いんですか?愁人は家ではあまりサッカーの話はしないから分からないんです」

「そうそう。でも、一回戦から星城と当たってるから厳しいかな」

「星城ってなんか聞いたことがあります」

「星城はサッカーのレベルがずば抜けてるからね。俺らも強いけど、星城は桁外れ。あっ、でも……今回はいけるかも」

「そうなんですか?」

「まぁ、それもこれも全部愁人のおかげなんだけどね。愁人もたまには使えるなって感じ?」

そう言って金山先輩は口の端を持ち上げて嫌な笑みを浮かべた。

< 58 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop