わたしにしか見えない君に、恋をした。

設定が終わりいよいよ写真撮影になる。

「ほら、湊!!ちゃんとカメラ見て!!」

「つーか、俺はどうせ映らないって」

「いいの!!」

湊は渋々カメラに顔を向けた。

あたしは湊の腕に自分の腕を絡める振りをして、脇腹を思いっきりくすぐった。

「おい、やめろって!!」

湊が笑う。あたしもつられて笑みが漏れる。

その直後、眩しいフラッシュと同時にカメラが切られた。

確認画面をじっと見つめる。

その時、ある異変に気が付いた。

「あれ……、映ってるよ？」

画面にあたしと湊の姿が映っている。

「……は？なんで？」

「分かんない!!だけど、映ってるもん!!」

画面を凝視するあたしと湊。

その間に二度目の撮影が始まる。

だけど、あたし達に次のポーズをとる余裕はなかった。