わたしにしか見えない君に、恋をした。
「どうして映ってるんだろう……?」

「たまたまだろ。心霊写真だな」

「自分で心霊写真とか言っちゃう!?」

「だってそうだろ。それ以外考えらんねぇし」

機械の中でしゃべっている間にすべての撮影が終わってしまった。

機械の裏手にある落書きコーナーに移ると、あたしは落書きにはめもくれずにすぐに写真の選択に移った。

落書きコーナーの画面にも湊の姿がはっきり写っている。

もしかしたら、印刷したプリクラにも湊の姿が映っているかもしれない。

そう考えると落書きしている時間の一分一秒も惜しかった。

プリクラの出口に回り、そわそわしながら出てくるのを待つ。

もし湊の姿がプリクラに映っていれば湊を探す手掛かりになるかも知れない。

お願い。

早く、早く出てきて……――。

その時、ポンッと肩を叩かれた。

「え?」

振り返った先にいたのは見覚えのない男の子二人組だった。

あたしと同じぐらいの年のように見える。

「ねぇ、何してんの~?」

金色に髪を染めた男の子が口元に薄らと笑みを張り付けながら問いかけた。

「えっ……何って……」

「一人でプリクラ撮ってなかった~?」

あたしは湊と一緒にプリクラを撮っている気でいたけど、他の人たちからは湊の姿は見えないんだ。

小さく頷くと、もう一人がニヤニヤと笑いながらあたしの隣に移動して肩を組んだ。

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