わたしにしか見えない君に、恋をした。
「やめてください……」

「あんまり騒がないで?俺らも荒いことしたくないし。ちょっと付き合ってっていってるだけじゃん?」

「そうそう。大人しくついてきたほうが身のためだって」

クックと喉を鳴らして笑う男の子。

二人に押さえつけられて身動きが取れない。

「流奈、手貸せ!!」

湊があたしの左手を掴む。

男の子二人にはもちろん湊の姿が見えていない。

とその時、湊が出口に出てきたプリクラを掴みあたし達の足元に置いた。

「ん?なんだこれ」

男の子の一人があたしから手を離してプリクラを掴みあげる。

「……おい、男うつってんじゃん。お前、この子一人って言ってなかったっけ?」

「は!?マジかよ。さっきは男なんていなかったんだって!!」

「ちゃんと確認しろよな。めんどくさいことになんだろーが」

二人はへらへらと笑いながらプリクラをあたしに手渡した。

そこにはあたしと湊の姿がはっきり写っていた。

その瞬間、胸の中がいっぱいになって言葉にならなかった。

よかった。湊、映ってる。ちゃんと映ってる……!!

男の子たちに絡まれたことなんてどうってことないことに思えた。

だけど、湊はぐっと拳を握りしめて男の子たちを睨みつけていた。
< 74 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop