わたしにしか見えない君に、恋をした。
ごめんね、湊。

でもね、あのプリクラがあれば湊の過去を突き止める手掛かりになるかもしれないと思ったの。

湊の姿は鏡にも映らない。

もし仮にこれが湊の言う通りに心霊写真だったとしても湊の姿がはっきり写っていることに変わりはない。

湊を知る人が見ればすぐにそれが湊だと分かるはずだ。

次にプリクラを撮っても、湊の姿は映らなかったかもしれない。

だとしたら、あたしはあのプリクラを必死に守りきらなければいけなかった。

「あんなのなんて言わないでよ。あたしにとってこのプリクラは……この世界に一枚しかない大切な物なんだから」

「流奈……」

「湊があたしのことをどう思ってるか知らないけど、あたしは湊が大切だよ?こうやって出会ったのもきっと何かの縁でしょ?湊の過去を知る手掛かりできるなら、あたしはなんだってするよ!」

「だからってあんな無茶すんなって」

「無茶するよ。湊のためなら!あたしにできることならなんだってする!!」

「そんなこと頼んでない!」

湊が声を荒げた。

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