わたしにしか見えない君に、恋をした。
それどころか苛立ったようにあたしに視線を向けて眉間にしわを寄せた。
「つーかさ、流奈ってどっちの味方なわけ?」
「……味方って何が?」
空気が一変する。
ごくりとつばを飲み込むと、腕を組んだナナがサエコの代わりにこう切り出した。
「ていうかさぁ、前から思ってたんだけど流奈って明子の肩もってない?そもそも明子がサエコの好きな人にちょっかいだしたからうちらのグループから抜けたんじゃん。忘れたの?」
「別に肩を持ってるわけじゃ……」
「なんかさ、ズルくない?あたしはサエコが可哀そうだなって思って明子にいろいろやり返してるけど流奈はいっつも自分は関係ないって顔しちゃってさ。そういうのってどうかと思うんだけど?」
「そんなつもりじゃ……」
「八方美人になると、みんなから嫌われるよ~?つーか、あたしもサエコも正直最近の流奈ってなんか微妙だし」
ナナの言葉に手が震える。
直接的に非難されたのは今日が初めてだった。
「や、やめてよ……そういうの……」
何ていったらいいのか分からずに苦笑いを浮かべてこの場をとりつくおうとする。
だけど、そんなあたしにサエコが非難の目を向ける。
「明子、今ならまだいるよ?早く代わってって言ってきなよ」
あたしに拒否権なんてないような強制的な言い方。