わたしにしか見えない君に、恋をした。
「湊、おかえり」

「ただいま」

「今日、遅かったね?どこいってたの?」

「学校まわりとか色々見て回ってた」

「そっか。それで、収穫は?」

「特には。でも流奈の友達見た」

「誰?サエコとナナ?」

「違う、あの子。前、傘を隠されてた子」

「……明子か」

湊はベッドサイドに腰かけると、俯くあたしの顔を覗きこんだ。

「……流奈。なんかあった?」

「え?」

「なんか表情が暗い」

「うん……ちょっとね」

湊はあたしのちょっとした変化も見逃さない。

どうしたらそんなに鋭い洞察力が育つんだろう。

「でも、大丈夫。ちゃんと自分で解決するから」

「そっか。なんかあったら言えよ?話ぐらいなら聞けるから」

「ありがとう、湊」

あたしはニコッと笑って答えた。

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