居候同期とフクザツな恋事情
「相手が滝宮さんじゃなぁ。イオがあの人に勝ってるのって……顔くらい?」
「メェちゃん!」
本音がつい声として漏れていたようで。
唇を真横にギュッと引き結んだイオが、上目遣いに睨んでくる。
「あ、ごめん。つい」
ははっと誤魔化すように笑ったら、イオがしばらく私を睨んだあとに、ガックリと肩を落とした。
「知ってる。滝宮さんて、まだ若い年齢で海外販社のマネージャーを任されたりしてて。優秀な人なんでしょ。同期に聞いた」
伸びてしまったカップ麺を食べることは放棄したらしいイオが、ダイニングテーブルに顔から突っ伏す。
深いため息をついて全身でうなだれているイオを見ていたら、さすがにちょっとかわいそうになってきた。
まぁ、そうだよね。仮にも一緒に住んでいた彼女にフラれてまだ2週間くらいしか経ってないのに。
彼女のほうにはもう、手も足も出なさそうな素敵な彼氏がいるんだもん。