居候同期とフクザツな恋事情



「ねぇ、パンケーキ好き?」

伏せているイオのつむじに訊ねたら、イオがテーブルに頬を張り付けたまま顔を横に向けた。


「急に、なに?」

私を見上げてくる、イオの不貞腐れた顔がちょっと可愛い。


「なに、じゃなくて。好きかどうか聞いてるの、パンケーキ」

「まぁ、好きだけど……」

「じゃぁ、今度の土曜日にでも一緒に行こうよ。ずっと行きたいと思ってた店があるんだよね」

スマホで店を検索すると、怪訝な顔のイオに見せる。


「見て。美味しそうでしょ。ここ、行ったことある?」

「ないけど……」

「じゃぁ、ちょうどよかった。美味しいもの食べたら、元気出るかもよ。ていうか、私は出る!」

スマホから顔を上げて笑いかけたら、イオの焦げ茶の瞳がジッと私を見つめてきた。


「それ、もしかして慰めてくれてんの?」

「うーん。まぁ、いちおう?」

慰めてる、っていうか。毎日辛気臭い顔をしているイオのことがなんとなくほっとけなくなってきた、っていうんだけなんだけど。


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