居候同期とフクザツな恋事情



ちょっと、おせっかいだったかな。

誘いを取り消そうか迷っていると、イオが私を見上げてふわっと薄く微笑む。


「ありがとう、メェちゃん。土曜日、行きたい」

永田さんのことをまだ想ったままなのか、どことなく儚げなイオの笑顔が、私の目を奪う。

しばらく見惚れてぼーっとしていると、イオが不思議そうに首を傾げた。


「メェちゃん?」

「あ、ご、ごめん。まさかのってくるとは思わなかったから、びっくりしちゃって」

「え、俺が行かないだろう、って前提で誘ったの?」

「あー、違う違う。ほんとに、一緒に行くつもりで誘ったよ」

イオがしょぼんと肩を落としかけるから、慌てて否定する。


「土曜日、何時頃にしようか」

本気でちゃんと計画を立てようとスマホのスケジュールを開いて。そうして、ハッとした。


「あ、ごめん。ダメだ、土曜日」

スマホを見つめたまま、ボソリと零す。

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