居候同期とフクザツな恋事情



「あー。それで拗ねてるの?」

「ちげぇーよ」

「結構かまってほしがりだね、イオくん」

ははーっと揶揄うように笑って、イオの頭に手を伸ばす。

そのまま、子どもの頃に4つ離れた弟にしていた感覚でくしゃくしゃーっと髪を撫でる。

すると、頭をあげたイオがムッとした顔で髪を掻き乱す私の手をつかんだ。


「やめろ」

本気で怒っているみたいなイオの目に威圧されて、私の笑顔が凍る。


「ごめん、つい」

小さな声で謝ったとき、テーブルの上で私のスマホの通知音が鳴った。

それを合図にしたみたいにイオが私の手を離したから、気まずい空気から逃げるために急いでスマホをつかむ。


「あ、松野くんだ」

届いていたのは、土曜日の飲み会の詳細だった。

送られてきた集合時間と場所、それからお店の位置情報やメニューを調べていると、ふと正面から視線を感じる。

スマホを少し横にずらすと、頬杖をついたイオが無表情で私のことを見ていた。


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