居候同期とフクザツな恋事情
ダイニングの椅子を後ろに押しやるようにして立ち上がると、大股で歩いて行って仕切り戸の前に仁王立ちになる。
それから扉に手をかけると、部屋中に音が響き渡るくらいにバーンっと乱暴に引き開けた。
自分の布団に座ってスマホを触っていたイオが、顔を上げてビクッと大きく肩を揺らす。
「え、メェ、ちゃん?」
睨みをきかせて凄む私を、イオが怯えた目で見上げてきた。
「ずーっと思ってたんだけど、あんた、いろいろ勝手過ぎんのよ!」
そのまま真っ直ぐにイオに向かって歩み寄っていくと、顔を痙攣らせて後ろへ身を引いた彼の背中がベッドの側面にぶつかった。
イオになにかしようとか、なにか言おうとか。特に明確な目的があるわけじゃない。
だけど私は、よくわからない態度をとってひとりで勝手に閉じこもっているイオにムカついていた。
「1日泊めてって話が、気付けば2ヶ月の同居になってるし。朝は起きないし。家事全般なんでもするって言ったくせに全然できなくて、むしろ私の仕事増やしてるし。それなのに、なんかムダにイケメンだし」