居候同期とフクザツな恋事情



「あ、えっと。うん……」

私はイオとの約束はちゃんと守るってことを伝えたかっただけで。そこまで際どいことを言ったつもりはないんだけどな。

だけど、イオが変なアドバイスをしてくるから、急にすごく恥ずかしくなった。

じわじわと頬が熱くなるのを感じて、私もイオから顔を背ける。

お互いに手が届くくらい近くにいるのに、ふたりして顔を背け合う。そんな私たちの間に、妙な沈黙が流れた。

よくわからないけど、なんか気まずい。

だからといって、どのタイミングでイオとの距離をとればいいのかもわからない。

困っていると、先にイオのほうが少し横にずれて私から離れた。


「俺、風呂入ってくるね」

「あ、うん。どうぞどうぞ」

イオに道を開けるように、すすーっと離れて壁のほうに移動する。

そのまま壁に背をつけて座り込んでいると、着替えを準備してバスルームに向かおうとしていたイオが、仕切り戸のところで立ち止まって私を振り向いた。


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