居候同期とフクザツな恋事情




イオと約束をした日曜日。相変わらず朝の弱いイオを叩き起こして、初めてふたりで一緒に電車に乗った。

同じ家に住んで2週間が過ぎるけれど、仕事の行き帰りはいつも別々。だから、ちょっと変な感じだった。

20分ほど電車に乗って、駅から10分ほど歩くと、目的のパンケーキ屋さんに辿り着く。

事前の調べで、人気のあるお店だとは知っていたけど。

ブランチ目的で早めにやってきたつもりだったのに、既にお店の前には列ができていた。


「あ、もう結構並んでるね」

店にできた列を見たイオがつぶやくのを聞いて、今さらながら、少し不安になった。

1年半ほど前に別れた元カレは、行列のできた店に並ぶのが嫌いな人だったのだ。

人気のある店を見つけてデートで行こうとしたら、私の下調べが悪くて長い時間並ばなければならず。それが原因でケンカになったことが何度かある。

思えば、学生時代から付き合っていた元カレと別れることになったのは、そういうことの小さな積み重ねだったのかもしれない。

< 115 / 240 >

この作品をシェア

pagetop