居候同期とフクザツな恋事情
◇
イオと約束をした日曜日。相変わらず朝の弱いイオを叩き起こして、初めてふたりで一緒に電車に乗った。
同じ家に住んで2週間が過ぎるけれど、仕事の行き帰りはいつも別々。だから、ちょっと変な感じだった。
20分ほど電車に乗って、駅から10分ほど歩くと、目的のパンケーキ屋さんに辿り着く。
事前の調べで、人気のあるお店だとは知っていたけど。
ブランチ目的で早めにやってきたつもりだったのに、既にお店の前には列ができていた。
「あ、もう結構並んでるね」
店にできた列を見たイオがつぶやくのを聞いて、今さらながら、少し不安になった。
1年半ほど前に別れた元カレは、行列のできた店に並ぶのが嫌いな人だったのだ。
人気のある店を見つけてデートで行こうとしたら、私の下調べが悪くて長い時間並ばなければならず。それが原因でケンカになったことが何度かある。
思えば、学生時代から付き合っていた元カレと別れることになったのは、そういうことの小さな積み重ねだったのかもしれない。