居候同期とフクザツな恋事情
「メェちゃん?」
私に急に引っ張られたイオが、きょとんとした顔でついて来る。
「前、進んでるから」
「あ、そっか。ごめん」
イオがふわっと優しく笑うから、まだつかんだままでいた彼の腕を反射的にぐっと引き寄せてしまう。
「メェちゃん?」
僅かに目を見開いて、不思議そうに首を傾げるイオとの距離が近くて。引き寄せたのは自分のくせに、今度は慌てて彼のことを突き放した。
「なんか……ずっと立ってたら足疲れて。ちょっとよろけちゃっただけ」
「そっか、大丈夫?でも、もうちょっとで入れそうじゃない?」
よろけたなんて、適当についた嘘だってわかっているはずなのに。それがホントだろうが、ウソだろうがどうだっていいのか、イオはへらへらと笑っている。
「メェちゃん、メニュー決めた?さっき見てたの、これだよね?」
イオがスマホでお店のSNSのページを開いて私に見せてくる。