居候同期とフクザツな恋事情



もちろん、飲み会のときに松野くんといろいろ話はできた。

仕事の話とか、最近よく見た映画の話とか、おすすめのレストランの話とか。

だけど共通の話題が上っても、松野くんのほうから『今度一緒にどこかに行ってみない』なんていう誘いを受けることはなくて。

私のほうも、積極的に松野くんを誘うほどの勇気が出なかった。

イオとは、私から誘ってこんなふうにパンケーキ食べに来ちゃったりしてるのにな。

チラッと様子を窺うと、それに気付いたイオがにこっと笑いかけてくる。

この間までは永田さんのことで落ち込んで、日常生活ボロボロだったのに。

今日は朝からよく笑ってて、調子がよさそうだ。

私に多少気を遣ってくれているのもあるんだろうけど、イオも少しは永田さんのことをふっきり始めてるのかな。

笑いかけてくるイオを極力無表情で見つめながら、昨夜の飲み会でのできごとを思い出す。

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