居候同期とフクザツな恋事情
せっかく立ち直ってきてるなら、このままなにも話さずにいるほうがいい、よね?
昨夜の滝宮さんの話を思い出しながら、向かいに座るイオの顔をチラッと見たとき、私たちの前にそれぞれパンケーキが運ばれてきた。
「おー、美味そう!」
「ほんとだー」
パンケーキの魅力的な見た目と、甘い香りに、思考が完全にそちらへと奪われる。
パンケーキの写真を撮るのも早々に、待ちきれずにパクついていたら、シャッター音がした。
フォークを持って半口を開けたまま顔を上げると、スマホを構えていたイオがまたシャッターを切る。
「ちょっと、食べてるところ撮らないでよ」
慌てて顔の前に手を出した私のことを笑いながら、イオがさらにもう一度スマホカメラのシャッターを押した。
「だってメェちゃん、すげぇ幸せそうに食べてるから」
「頬張ってて、変な顔じゃん」
イオが見せてきたのは、私がちょうどパクッとフォークを口に入れた瞬間の写真だった。